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2026.03.27

良かれと思ってやった体操が、腰痛を2倍にした話

「腰痛に効く体操」動画、本当に大丈夫ですか?プロが警告する落とし穴

最近、SNSやYouTubeで「これをやれば腰痛が治る!」「たった3分で腰痛解消!」といった動画をよく見かけます。再生回数が数百万回を超えるものもあり、実際に試した方も多いのではないでしょうか。

でも、ちょっと待ってください。

接骨院で日々患者さんと向き合っているプロの立場から、正直にお伝えしたいことがあります。

腰痛は「ひとつの病気」ではない

まず大前提として、腰痛は原因によって全く別の状態です。大きく分けるだけでも、

∙ 筋肉・筋膜が原因のもの(筋筋膜性腰痛)

∙ 椎間板が原因のもの(椎間板ヘルニアなど)

∙ 関節が原因のもの(腰椎椎間関節障害など)

∙ 骨盤のゆがみや股関節の硬さが影響しているもの

∙ 内臓や血流の問題が隠れているもの

∙ がんや骨粗しょう症など、重大な疾患が原因となっているもの

これだけの種類があります。同じ「腰が痛い」でも、原因はまったく違うのです。

特に最後の項目は見落とされがちですが、腰痛の中にはごくまれに悪性腫瘍(がん)や骨粗しょう症による圧迫骨折など、見逃すと大変なことになる疾患が隠れていることがあります。「単なる腰痛だろう」と自己判断して体操を続けることが、こうしたケースでは取り返しのつかない事態を招く可能性もあります。

まず整形外科へ——これが私たちのルールです

当院では、腰痛の患者さんをお受けする前に、一つ大切なお願いをしています。

転んだ、重いものを持った、体をひねったなど、はっきりした原因がある場合はそのまま接骨院にお越しいただいて構いません。

しかし、思い当たる原因がないのに腰が痛い、じわじわ悪化している、夜間や安静時にも痛むという場合は、まず整形外科を受診してください。

これは患者さんを遠ざけたいわけでは決してなく、接骨院でできることの範囲を超えた疾患が隠れていないかを、画像診断や血液検査など医療機関の手でしっかり確認してほしいからです。整形外科で「骨や内臓に問題なし」と確認できてから、初めて接骨院での施術が安心して受けられるものになります。

「万人向け体操」が危険な理由

動画で紹介される体操は、多くの場合特定のタイプの腰痛には効果的です。作っている方が悪意を持っているわけでは、もちろんありません。

問題は、自分がどのタイプかわからないまま試してしまうこと。

例えば、こんなケースが実際にあります。

「YouTubeで腰痛に効くって言ってた前屈みストレッチを、2週間毎朝やってるんですけど…なんか余計ひどくなってきて」

検査をすると、腸腰筋が短縮しているタイプの腰痛でした。このタイプの方にとって、前屈みの姿勢は一時的に楽に感じることがあります。ところがそれを繰り返すことで腸腰筋がさらに縮んだ状態に慣れてしまい、前屈みのまま腰が伸びなくなっていくという悪循環に陥ります。「楽になってる気がする」と信じて毎日続けた2週間が、実は悪化の2週間だったわけです。

別のケースもあります。

「反らす体操が腰痛改善に効くって動画で見て試したら、その日の夜から動けなくなってしまって」

この方は大臀筋が短縮した反り腰タイプ。もともと腰が過剰に反った状態になっているところへ、さらに反らす体操をしてしまったんです。火に油どころか、すでに燃えているところにガスバーナーを当てるようなものでした。その体操が悪いのではなく、そのタイプにはただ合っていなかっただけなんです。

これは決して珍しい話ではありません。

「やってみて楽になった」は正解とは限らない

さらに厄介なのが、その場では気持ちいいのに、後から悪化するパターンです。ストレッチは一時的に血流を促すため、すぐは楽になることがあります。しかし、本来動かしてはいけない方向に動かしていると、時間差で炎症が強くなることも。「昨日あの体操をやったら、今日ひどくなった」というご相談は、接骨院あるあるです。

プロが最初にすること

私たち接骨院のスタッフが患者さんを診るとき、体操や施術の前に必ず行うのが「この人の腰痛はどのタイプか」の見極めです。

∙ どんな姿勢で痛いか

∙ 動くと楽か、安静にしていると楽か

∙ いつから、どんなきっかけで痛いか

∙ 足のしびれはあるか

こうした情報をもとに、その人に合ったアプローチを選びます。同じ腰痛でも、Aさんに効くものがBさんには逆効果になることは日常茶飯事です。

動画を完全否定するわけじゃないけれど

誤解しないでいただきたいのですが、「ああいう動画は全部ダメ」と言いたいわけではありません。自分のタイプに合っている人にとっては、本当に助けになるものです。また、予防的な観点から日頃のケアとして取り入れるのは良いことだと思います。

ただ、痛みがある状態で、原因を確認しないまま試すのはリスクがあるということをぜひ知っておいてほしいのです。

まとめ

腰痛は「一種類」ではありません。自分の腰痛のタイプを知ることが、改善への一番の近道です。

そして、思い当たる原因がない腰痛は、まず整形外科へ。その上で「どの体操が自分に合っているか知りたい」「今やっている体操が合っているか確認したい」という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。あなたの腰痛のタイプを見極めた上で、本当に必要なケアをご提案します。

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